2025年、ラグジュアリー市場は静かな、しかし確実な転換期を迎えています。世界市場がマクロ経済の不確実性を背景にわずかな減速を見せる(※1)一方で、日本の鞄・袋物市場はインバウンド需要にも支えられ、活況を呈している(※2)という、複雑な様相を呈しています。
このような時代の中で、私たちファッションを愛する大人が本当に選ぶべきバッグとは何でしょうか。
Luxe Bag Loungeがお届けする最新のトレンドレポートでは、最新のコレクション情報と市場動向を深く分析。次にくる大きな潮流を読み解き、あなたのスタイルを格上げする、未来のパートナーとなるバッグ選びの羅針盤をお届けします。
2025-26年秋冬の二大潮流:「静かなる実用性」と「雄弁な個性」

今シーズンのバッグトレンドを読み解くキーワードは、「静かなる実用性 (Quiet Practicality)」と「雄弁な個性 (Eloquent Personality)」という、一見相反する二つの大きな潮流の共存です。
一つは、不確実な時代だからこそ求められる、タイムレスで投資価値のある「実用的なバッグ」。
もう一つは、自分らしさを表現し、日々の生活に喜びをもたらす「遊び心のあるステートメントバッグ」。
多くのブランドは、この二つのニーズに応える形で、クラシックなモデルを現代的にアップデートしつつ、持つだけで心が躍るような個性的なアイテムを提案しています。国内外のコレクションを分析するVOGUE JAPANやWWDJAPANでも、この傾向は顕著に見て取れました。
トレンド深掘り①:静かなる実用性 (Quiet Practicality)

長く愛せること、そして日々のパートナーとして信頼できること。そんな「用の美」を追求する潮流が、今、改めて注目されています。
横長フォルムの復活:「イーストウエストバッグ」
今シーズン、多くのブランドから登場しているのが、横に長い「イーストウエスト」と呼ばれるフォルムのバッグです。クラシックな見た目ながら、肩にかけたときの収まりが良く、現代のライフスタイルに必要なものがすっきりと収納できる実用性が魅力。流行に左右されない端正な佇まいは、まさに大人のための新しい定番と言えるでしょう。
知性と品格の象徴:「クラシック・サッチェル」
英国の学生鞄をルーツに持つサッチェルバッグも、今季の重要なキーワード。上質なレザーで作られたかっちりとしたフォルムは、持つだけで知的な印象を与えます。オフィスカジュアルから休日のきれいめな装いまで、幅広いシーンに対応できる汎用性の高さは、一つのバッグを長く大切に使いたいというニーズに完璧に応えてくれます。
トレンド深掘り②:雄弁な個性 (Eloquent Personality)

一方で、バッグを自己表現のツールとして、より大胆に楽しむ動きも加速しています。
触れて楽しむ、豊かなディテール
くしゅっとしたギャザーや、動くたびに揺れるフリンジ、力強いアクセントとなるスタッズなど、思わず触れたくなるような装飾的なディテールが、多くのバッグに採り入れられています。シンプルな装いに一つ加えるだけで、全体の印象をドラマティックに変えてくれる、アクセサリーのような役割を果たします。
「バッグ2個持ち」という新たな常識
スマートフォン用のマイクロミニバッグと、必需品を入れるメインのバッグ。あるいは、仕事用のPCトートと、アフター5のためのクラッチバッグ。異なるサイズや素材のバッグを複数持つ「2個持ち・3個持ち」は、もはや上級者だけのテクニックではありません。実用性とパーソナリティを両立させる、合理的かつ新しい自己表現の方法として、ELLE DIGITAL (Japan)などでも特集され、完全に定着しました。
キーカラー&マテリアル予測

今シーズンのムードを象徴する、注目のカラーと素材はこちらです。
- 注目カラー: 深みのある「バーガンディレッド」、落ち着いた「オリーブグリーン」、そして永遠の定番「キャメルブラウン」が、今季の基調色となりそうです。
- 注目素材: 美しい光沢を持つ「ポリッシュドカーフスキン」と、温かみのある「テクスチャードスエード」が、多くのコレクションで見られました。
二つの潮流を乗りこなし、自分だけのスタイルを

2025-26年秋冬のバッグトレンドは、単一の「正解」を追い求める時代の終わりを告げています。
大切なのは、この「静かなる実用性」と「雄弁な個性」という二つの潮流を理解し、あなた自身のライフスタイルや価値観に、どう取り入れるかという視点です。
例えば、平日は上質なレザーのサッチェルバッグをパートナーとし、休日にはそこに遊び心のあるミニバッグを一つ加えてみる。そうすることで、同じワードローブでも全く違う表情を楽しむことができるでしょう。
Luxe Bag Loungeは、これからも最新のトレンドを深く分析し、皆様が自分らしいスタイルを見つけるためのお手伝いを続けてまいります。次回のレポートもご期待ください。
出典
- Bain & Company|ベイン・アンド・カンパニー「2024 年秋、グローバル ラグジュアリー市場レポート*」を発行
- FASHIONSNAP|国内鞄・袋物市場は2年連続プラス成長、訪日外国人客からの需要が拡大
- VOGUE JAPAN
- WWDJAPAN
- ELLE DIGITAL (Japan)