憧れのエルメス・バーキンを手にしたとき、その圧倒的な存在感に心が躍ると同時に、ふとした疑問を抱く方は少なくありません。「このクロシェット、どう付けるのが正解なの?」と。
大切なバッグだからこそ、間違った扱いをして革を傷めたり、マナーを知らないと思われたりすることは避けたいものです。本記事では、エレガントに見えるバーキン クロシェット 付け方の基本手順から、傷を防ぐための賢いアレンジ術まで、所有者として知っておきたい知識を網羅しました。
【結論】最もポピュラーな「ハンドル結び」の手順
バーキンのクロシェットは、以下の手順で前側のハンドルに取り付けるのが基本かつ最も美しいスタイルとされています。
| 手順 | 具体的なアクション |
|---|---|
| Step 1 | クロシェットの中に鍵(キー)を完全に収納し、見えないようにします。 |
| Step 2 | 前ハンドルの根元に紐を通し、輪っかを作ってくぐらせます。 |
| Step 3 | 紐にある切り込み(スリット)にカデナを通し、チャームのように垂らします。 |
【徹底解説】バーキンのクロシェット付け方と基本のハンドル結び

この記事で分かること
- 画像なしでも迷わない、クロシェットの正しい取り付け手順
- 大切な革を傷つけないためのカデナの扱い方と保管術
- ツイリーや「裏持ち」など、シーンに合わせた上級アレンジ
- 付属品の有無が資産価値に与える影響とプロの視点
エルメスのバーキンにおいて、クロシェットとカデナは単なる付属品ではなく、そのデザインを完成させる重要なピースです。「まずは基本を完璧にしたい」。そんな正統派なあなたのために、世界中の愛用者が実践している最もオーソドックスで、品格を損なわない取り付け方をご紹介します。
手順1:クロシェットに鍵を収納して準備する
最初に行うべきは、鍵(キー)の扱いです。クロシェットは本来「鍵を隠すためのカバー」としての役割を持っています。もし鍵がむき出しのままだと、歩くたびにチリンチリンと金属音が鳴ったり、大切なバッグの表面を傷つけたりする原因となってしまいます。
- 鍵の向き: 鍵のヘッド部分を、クロシェット内部の奥までぐっと引き上げます。
- 紐の調整: 鍵が下からチラリと覗かない位置で固定されるよう、紐を引いて整えます。
美しい佇まいは、こうした見えない部分の配慮から生まれるもの。鍵を革の中に完全に収めることで、見た目もスマートになり、より洗練された印象を与えることができます。
手順2:紐を前ハンドルに通してループを作る
準備ができたら、いよいよバッグに取り付けます。一般的には、バーキンの「正面側(フロント)」のハンドル向かって右側の根元に取り付けるスタイルが多く見られます。
- クロシェットの紐を、前ハンドルの根元部分に上から通します。
- 紐の輪(ループ)を作り、その輪の中にクロシェット本体(革部分)を通します。
- ゆっくりと紐を引き、ハンドルに結び目がくるように固定します。
この際、あまり強く締めすぎると革紐に癖がついてしまうため、スカーフを巻くような適度な力加減で固定するのがポイントです。ハンドルにふわりと寄り添うような結び目が、エルメスのレザーの柔らかさを引き立ててくれます。
手順3:南京錠(カデナ)を通してバランスを調整
仕上げに、バーキンの象徴でもあるカデナ(南京錠)を取り付けます。クロシェットの紐にあるスリット(切り込み)状の穴を活用しましょう。
- 取り付け: 紐のスリット部分にカデナのフックを通し、そのままぶら下げる形にします。
- 位置調整: カデナの重みで紐が伸び切らないよう、またバッグ本体に激しく当たらないよう、鏡で全体のバランスを見て長さを微調整します。
カデナを紐に通してチャームのように揺らすこのスタイルは、バーキンに動きと輝きをプラスします。まるでネックレスを着けるときのように、全体のバランスを楽しんでみてください。ただし、カデナはずっしりとした重量があるため、取り扱いには次章で解説するような注意も必要です。
ツイリーや裏持ちで差をつけるバーキンの上級アレンジ術

基本のスタイルが板についてきたら、次はシーンや気分に合わせてアレンジを楽しんでみてはいかがでしょうか。スカーフや持ち方の工夫一つで、いつものバーキンが驚くほど豊かな表情を見せてくれます。
ツイリーの巻き方とクロシェットを共存させるコツ
ハンドルの汚れ防止やアクセントとして人気の「ツイリー(スカーフ)」。これを巻く際、「クロシェットはどうすればいいの?」と悩む方も多いはず。主なアプローチは以下の2つです。
- ツイリーの上から付ける: ツイリーを巻いた後、その上からクロシェットを結びます。ボリュームが出ますが、一層華やかさが増します。
- ツイリーに組み込む: ツイリーを巻く過程で、クロシェットの紐を一緒に巻き込んで固定する方法です。見た目がすっきりとし、紐がずれるのを防げます。
どちらの場合も、色が喧嘩しないよう、ツイリーの柄に含まれる色とクロシェット(バッグ本体)の色味を意識することが大切です。
あえて「開けたまま」持つ時のこなれたラフなスタイル
海外のセレブリティやファッションエディターの間では、バーキンのフラップ(蓋)を内側にしまい込み、トートバッグのように口を開けたまま持つスタイルが定着しています。
この「開け持ち」の場合、クロシェットとカデナは、だらりと垂れ下がり、よりカジュアルでリラックスした雰囲気を演出します。ただし、防犯面や中身の飛び出しには十分な配慮が必要です。人混みでは避け、車移動や安全な場所でのショッピングなど、TPOを選んで楽しむべき「大人の余裕」を感じさせる持ち方と言えるでしょう。
ロゴを隠す「裏持ち」なら付属品はどうする?
ビジネスシーンや、あまりブランドを主張したくない場面では、あえてロゴの刻印がない背面を表に向けて持つ「裏持ち」というテクニックがあります。
この場合、クロシェットやカデナといった象徴的な付属品も、あえて外して内ポケットに収納するか、目立たないようにバッグの内側に垂らすのがスマートです。「能ある鷹は爪を隠す」ではないですが、そうした控えめな振る舞いこそが、所有者の知性を際立たせることがあるのです。
男性にも人気!メンズ流バーキンとツイリーの合わせ方
近年、男性がバーキンを愛用する姿も珍しくありません。メンズスタイルの場合、可愛らしさよりも「シック」「モダン」な演出が好まれます。
- 色選び: モノトーンや寒色系のツイリーを選び、ネクタイを選ぶような感覚でハンドルに巻く。
- クロシェット: 長めに垂らして縦のラインを強調し、スタイリッシュな印象に。
性別を問わず愛されるバーキンだからこそ、固定観念にとらわれない自由なスタイリングが可能です。
大切なバッグを傷つけないために知っておきたい付属品の扱い方

美しいバーキンを長く愛用するためには、見た目の美しさだけでなく、革の状態を守る視点も欠かせません。「いつまでも新品のように綺麗に使いたい」。そんな願いを叶えるために、付属品の扱い一つで数年後のコンディションに大きな差がつきます。
カデナの重みや揺れで革に傷がつくリスクとは
金属の塊であるカデナは、想像以上に重量があります。歩行時の振動でカデナが揺れ、バッグの表面(特にボックスカーフなどの繊細な素材)にコツコツと当たり続けることで、細かい打痕や擦り傷がつくことがあります。
主なリスク:
- 打痕・擦れ: カデナが当たる部分の革が傷つく。
- 紐の伸び: カデナの重みでクロシェットの革紐が伸びたり、千切れたりする。
これらは長い時間を共に過ごした証、いわゆる「味」とも言えますが、傷のない滑らかな美しさを保ちたいと願う方にとっては、やはり無視できない問題です。
傷防止のためにクローシュだけ付けてカデナは外す
傷のリスクを回避しつつ、バーキンらしいルックスも残したい。そんな多くのオーナーが実践しているのが、「クロシェット(革カバー)のみを取り付け、カデナは外す」という折衷案です。
- メリット: 革紐のチャームとしてのアクセントは保たれ、金属がバッグに当たる心配がなくなります。
- 見た目: カデナがなくても、クロシェットの揺れ感だけで十分エレガントな雰囲気を醸し出せます。
「カデナを付けていないと変ではないか?」と心配される方もいらっしゃいますが、実際には多くの愛用者が行っている一般的なスタイルですので、どうぞご安心ください。
資産価値に関わるバーキンの付属品の保管方法
将来的に手放す可能性が少しでもあるならば、外した付属品の管理は極めて重要です。エルメスのバーキンは、付属品がすべて揃っているかどうかが査定額に大きく影響します。
| 付属品 | 重要性 | 推奨される保管場所 |
|---|---|---|
| カデナ・鍵 | 極めて高い | 専用の小さな保存袋に入れ、バッグの内ポケットへ |
| クロシェット | 高い | 使用しない場合は型崩れしないよう伸ばして保管 |
| レインカバー | 中 | 購入時の箱またはバッグ内ポケット |
特にカデナと鍵の紛失は、数万円単位での減額対象となることもあります。「使わないから」といって無造作に引き出しに入れたりせず、大切なジュエリーと同じように丁寧に保管することをおすすめします。
バーキンの付属品や持ち方についてよくある質問と解決策

ここでは、バーキンを愛用する中でふと浮かぶ疑問に対し、実用的な観点からお答えします。ちょっとした不安を解消して、自信を持ってバッグを持ち歩きましょう。
カデナを付けないのはマナー違反になりますか?
結論から申し上げますと、全くマナー違反ではありません。バーキンは元々、ジェーン・バーキンのために作られた実用的なバッグです。所有者が最も使いやすく、心地よいと感じる状態で持つことが本来の姿です。
式典などのフォーマルな場では、カチャカチャと音が鳴るのを防ぐためにあえて外すという配慮も、むしろ洗練されたマナーと言えるでしょう。ご自身のスタイルに合わせて自由に選択してください。
クロシェットの紐が解けやすい時の対処法は?
「結んでもすぐに解けてしまう…」そんな経験はありませんか? 新品のクロシェットの革紐はまだ硬く、どうしても解けやすいものです。
- 対処法: 無理にきつく結ぼうとせず、革が馴染むまでは何度か結び直す余裕を持ちましょう。
- 注意点: 水で濡らして柔らかくする等の自己流のアレンジは、革の変色や劣化の原因となるため避けてください。
まるで新しい靴を履き慣らすように、使い込むほどに革が柔らかくなり、自然とハンドルに馴染んで解けにくくなっていきます。その過程も革製品を育てる楽しみの一つです。
雨の日に付属品を付けていても大丈夫ですか?
雨の日は、できる限り付属品を外すか、バッグ内部に収納することをお勧めします。
クロシェットの革紐は細く、水濡れによるシミや劣化が目立ちやすいパーツです。また、濡れたカデナが革に触れたまま放置されると、サビや変色の原因にもなりかねません。万が一濡れてしまった場合は、乾いた柔らかい布で優しく拭き取るなど、正しい革のお手入れを心がけてください。エルメスから付属しているレインカバーを使用する場合でも、念のため付属品は内側に避難させておくのが、美しい状態を保つ秘訣です。
自分らしいスタイルで一生モノのバーキンを使い倒す秘訣

バーキンのクロシェットの付け方に、絶対的な正解はありません。あるのは、あなたがそのバッグをどう愛し、どう見せたいかという選択だけです。
基本の「ハンドル結び」で正統派のエレガンスを楽しむのも、傷を避けてシンプルに持つもの、あるいはラフに使って自分だけのヴィンテージに育てるのも、すべて素晴らしい選択です。大切なのは、周りの目や正解を気にしすぎて、せっかくのバーキンをクローゼットに眠らせてしまわないことではないでしょうか。
ぜひ、今日からあなたなりのスタイルで、バーキンと過ごす豊かな時間を楽しんでください。そのバッグは、人生に寄り添い、共に時を重ねることで、より一層あなたらしい輝きを放ち始めるはずです。
もし、ご自宅に眠っているバーキンのメンテナンスや、他のモデルへの買い替えをご検討されている場合は、信頼できる専門店や、エルメスの公式メンテナンスサービスに一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。プロのアドバイスが、あなたのバーキンライフをより充実させるきっかけになるかもしれません。